時事問題へのなぜなぜ問答を通して地頭力を鍛える親子の会話(やりすぎ注意)

たかはしです。

プログラミング的思考を高めるには、論理的思考が必要不可欠です。

時々、パソコンを使わずにこんなトレーニングをしたりします。使い慣れていない頭の使い方をしますので、人によっては非常に疲れます。子供も面倒がって眠くなりますが、ほどよくしつこく続けるのが大事。では、やってみましょう。

時事ニュースから題材を選ぶ

テレビが好きな子供たち。

最近よくテレビで流れるニュースから題材を選んでみましょう。

今回は、harenohi問題を取り上げます。

振袖レンタル業者「はれのひ(harenohi)」が、成人式当日に連絡が取れなくなり、注文していた振袖が着用できなくなるといった被害が続出し、騒動になっている。

 各地で成人式が行われた8日朝、SNS上で「はれのひ」で注文した振袖が着付け会場に届かない、業者と連絡が取れない、店舗がもぬけの殻といった被害報告が相次ぎ、話題が広まった。ツイッターでは、「成人式の日に何もできなくなった」「一生に一度の成人の日を台無しにされた」といった怒りや途方に暮れる投稿がみられ、高額の前金の支払いなど被害が大きく詐欺などの疑いがあることから、警察が調べを進めている。騒動を知った呉服店や美容室では、救済措置として被害者の受け入れを行う店舗もあった。また、ネット上では被害者の会の発足といった動きもみられる。

 現在「はれのひ」の公式サイトは閲覧できない状態となっている。アクセスが殺到したことによるサーバ負荷が原因か、同社による意図的なものかは不明。横浜市中区の本社をはじめ、被害が続出したみなとみらい店と八王子店では、電話が繋がらない状態となっているほか、つくば店は本日から休業している。支店の中で福岡天神店のみ8日に店を開け、従業員によって着付けやヘアメークの対応を行ったという。

 「はれのひ」は2008年に創業。篠崎洋一郎が代表取締役社長を務めている。売上高は2014年に2億8000万円、2015年に3億8000万円、2016年に4億8000万円。

子供が知っていることを確認する

まずは、子供に聞いてこのニュースについて聞いてみましょう。

「ハレノヒのニュース知ってる?」

子供「うん」

…ちょっと待ちますが、次の会話が出てこないので呼び水を。

「どんなニュースか説明してみて」

子供「えっとー、よく知らないんだけど、メルカリで、盗まれた着物が出品されているって」

なるほど。

理解が部分的なので、まずは時事ニュースについての理解を深めてもらいます。

「成人式って知ってる?」

子供「うん。20歳になったときのお祝いで、人生に一度しかない」

「そうそう。よく知ってるね。成人式には、大人になる記念として特別な気持ちで参加する人もたくさんいる。特に女性は普段とは違い、着物を着たりして一生の記念にしたいと思う人も多い」

子供「うんうん」

「ハレノヒ事件は、そういう成人式を楽しみにしていた人たちの気持ちを踏みにじった事件なんだ。着物って普段は着ないから借りて着たりする。きれいに着るためには、”着付け”や”ヘアメイク”も必要。成人式の日に予約が集中するから、早い人は2年前から予約してたりするみたいだね。」

子供「ふーん」

「で、自分の成人式当日。式に着物を着ていくぞと朝早起きしてお店に行ったら、お店が空っぽ。困るよね」

子供「困るね」

「そういう事件なんだ」

こんな感じで、時事ニュースの全体像を把握させるところがスタートラインです。

なぜ悪いことなの?をしつこく聞く

ここからが本題です。なぜそれが悪いことなのか?を子供に聞きます。

「では、ハレノヒがやったことはどうして悪いんだと思う?」

子供「みんなから預かった着物やお金を持ち逃げして、しかもその被害総額が2億円で。そして着物がメルカリにも出ているから」

「整理しよう。①預かった着物やお金を持ち逃げした、②被害総額が2億円、③着物がメルカリにでている、ということだね」

子供「うん」

「②被害総額2億円だけど、100円だったらいいの?金額の問題?」

子供「いや、100円でも悪い」

「だね。では、①預かった着物やお金を持ち逃げした、はどうして悪いんだろう」

子供「えーっ…わからない」頭を抱える子供。

あたりまえと思っていることをあえて口に出すことの大切さを伝え、口に出すよう促します。

「悪いに決まってる、と思うんだろうけど、それを改めて考えてみることも大切だよ。お父さんはそういう話をしたい。思いつくことを口に出してくれたら、うまく引き出すから頑張ってしゃべってみて」

子供「わかった」しぶしぶ応じます。

子供「持ち逃げして、2億円の被害が出て、メルカリに出しているから悪い」

元の回答に戻りましたが、ここで折れては意味がないのでもう一度話を戻します。

「それはハレノヒの話だよね。お父さんが聞いているのは、どうして持ち逃げしたら悪いのかということだよ」

子供「えーっと、持ち逃げは人のものを盗ることだから」

お、進みましたね。

「そうだね、人のものを盗ることは悪いことだね」

同意するそぶりを見せたことで、子供に安堵の表情が見えますがさらに突っ込みます。

「では、どうして人のものを盗ることは悪いことなんだろう」

子供「え〜〜!聞かないでよ」もうすこし粘りましょう。

「あたりまえだと思う?」

子供「うん、窃盗罪だからね」

窃盗罪という言葉を知っているのは偉いですが、論理的思考よりも知識の方が先行していますね。

「窃盗(せっとう)罪を知ってるんだね。では、誰がそれを悪いって決めたんだろう」

子供「国じゃない?」

子供が投げやりになってきました。でも、ゴールに着くまでは粘りましょう。

「では国がないところでは窃盗罪って無いの?」

子供「知らなーい」

「では、なんで国が窃盗罪は悪いことって決めたんだろうね」

子供「着物にしても物にしても、人がお金をかけて買ったものを盗るのは悪い」

「では、お金に換えられるものだから悪いのかな。畑で作った野菜が盗られたのはセーフ?」

子供「土地代もかかるし、水道代や種代があるからダメ」

ちょっと本題とズレてしまいましたが、いいところまで来ました。

「ものの価値をお金で考えてるんだね。まぁいいや。では、元の質問。どうして国が窃盗罪を悪いって決めたんだろう」

子供「…」

黙り込んでしまいましたので、潮時です。そろそろクロージングに入ります。

「もっとシンプルな理由があるんだよ」

広げた会話を閉じて、時事ニュースに戻す

「実は、”罪”は、相手にやられたらイヤなことをしないように決めたものなんだよ」

子供「うんうん」ちょっと戻ってきました。

「人のものを盗っても怒られない。そんなところで安心して生活できる?」

子供「できない」

「盗られないように、人を信じなくなるし、盗ろうとした相手を攻撃するだろうね。そんな社会はイヤだね。」

子供「うん」

「だから、法律というのはみんなが安心、安全に生活できるように決めたものなんだ」

子供「なるほど」

「では元のハレノヒの事件に戻るね。人のものを盗ったり、貸したものが返ってこなかったり。そういうことは残念ながら身近にもあるけど、どうしてハレノヒは大きくニュースになっているんだろうね」

子供「そうか、被害総額が2億円だからだ」

「そうだね。たくさんの人が被害に遭っていることと、一生に一度の大切な成人式を台無しにしたのが許せない、とみんなが怒っているからだね」

子供「ふーん、ところでなんだか眠くなってきちゃった」

使い慣れていない頭をフル回転させたおかげで眠気が来たようです。

なぜなぜ分析を利用した論理的思考トレーニング

これは、なぜなぜ分析を利用した論理的思考のトレーニングの例です。

当たり前だと見過ごしがちな「思考の前提」に着目し、根本的な問題点についての理解を深めることに役立ちます。

テレビやインターネットの影響で、情報のインプットの機会が劇的に増えています。入ってきた情報をやみくもに溜め込むだけでなく、筋道立てて理解し、説明できるようになるために論理的思考力を磨きましょう。

なお、やりすぎると子供に嫌われますのでご注意ください。

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